2011年04月26日

映画「阪急電車」は日常をフィクションにした稀な映画だ。

hankyu関西人にとって、阪急電車・今津線は特別の思いのある沿線だ。宝塚はもちろん阪急の象徴でもあり、逆瀬川の情緒ある風景、小林(おばやし)ののどかな景色、仁川にいたっては阪神競馬場もあり桜の頃には遊びに来る人も多い。甲東園は関西学院大学の最寄り駅であり、門戸厄神は近場のお参り場所。西宮北口は神戸線とクロスしており、かなりの人が通過するターミナルだ。

私自身、今津線と平行して流れる武庫川のサイクリングロードは関西でいちばん好きなロードで、季節のいい頃にはちょくちょく阿倍野から出かけていく。この沿線は住むには敷居が高すぎるが、自然(野鳥)の多さ、人の上品さ、という点でいつまでもあこがれの場所となっている。

原作は自衛隊三部作や「フリーター家を買う」などを書いた有川浩(ありかわひろ)さん。有川さん自身、阪急沿線に住んでおり、夫と電車に乗っていた時、若いカップルが手をつないだまま始発の電車で眠りこけているのを見て「こういう光景を見て妄想をふくらませるのが君の仕事じゃないのか」と言われたのがきっかけで物語りを紡いでいったらしい。

この映画のキャスティングがまた素晴らしい。
中谷美紀は東京都出身だが

戸田恵梨香 兵庫県出身
相武紗季  兵庫県宝塚出身 (友情出演)
芦田愛菜  兵庫県出身
南果歩   兵庫県出身
有村架純  兵庫県出身
鈴木亮平  兵庫県出身
谷村美月  大阪府出身
高須璃香  大阪府出身
玉山鉄二  京都府出身


とそれぞれが無理のない関西弁をしゃべり、阪急電車のブランドイメージを肌身で知っている役者であり、特に、戸田恵梨香と阪急電車の相思相愛感はおそろしく自然だった。

またオマケに主題歌は阪急沿線で育ち「三国」などの曲もかいた阪急電車に思い入れの強いaikoを起用している。

そして、このキャスティングのこだわりは見事に成功している。

人はそれぞれ皆
いろんなやりきれない気持ちを抱えて生きている
死ぬほどつらいわけではないけれど
どうにもならない思いを抱えて生きている
そして、その気持ちは誰にも言えないのだ


中谷美紀が雑踏でそうつぶやくとき
こういう思いは誰もがどこかで感じている感情だなと思う。

このビリヤードの球のように偶然ふれあう登場人物たち
片道15分の往路と復路で、すべての感情はふくらみ、なんらかの解決はしていくが
根本的には何も埋まっていないのだが
それを受け入れる明るさはそれぞれが持ち得ていく。

宮本信子の存在も大きい。
宮本信子と芦田愛菜のこの組み合わせはゾクゾクするほど人生だった。

勝地涼と谷村美月
玉山鉄二と有村架純のカップルの初々しさ

これを見ると、「阪急電車」を書くきっかけとなった
手をつないで眠りこけているカップルの光景に妄想を加えていくという
初期のコンセプトは充分満たされているように思う。

作家の有川浩は映画化に対して題名の「阪急電車」は守っていただいて
後は映像のことなどですべてをまかせる、口だししない姿勢を貫いたとのことで
清いなと思った。
唯一、手を出したのは、車内撮影の時、電車を揺らすのを手伝ったと(笑)
脚本は「おっぱいバレー」「いま、会いにいきます」の岡田恵和。
監督も大阪府出身の草の僕シリーズ、「結婚できない男」の三宅喜重。

そりゃ、こんないい映画ができるはずだ。

そして、この今津線沿線そのものが1995年1月の阪神大震災の被災地であったことを思うと、これほどの希望はないのではないかと思う。戸田恵梨香も6歳の時、実際に被災している。










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コメント一欄

2. Posted by snafkin7   2011年04月26日 10:12
5 コメントありがとうございます。
出身は兵庫なんですね。
始めはオーディションも結構落ちて、東京に行く交通費もままならないので、ママがパートまでして支えてたみたいですよ。
1. Posted by マイベイ   2011年04月26日 09:35
芦田愛菜って兵庫なんだ。

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30数年広告畑で畑を耕しています(笑)コピーライターでありながら、複雑系マーケティングの視野からWebプランニング、戦略シナリオを創発。2008年2月より某Web会社の代表取締役社長に就任。snafkin7としてのTwitterはこちらからどうぞ。Facebookはこちらから。
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