2011年02月04日

月9恋愛ドラマにおけるケータイ戦略の失敗

geku最近、NTTドコモ提供ドラマの中のケータイの使い方が病的だなと感じることが多い。新しいところでは、二宮和也と香里奈の「フリーター家を買う」、上戸彩と竹野内豊の「流れ星」、そして問題の戸田恵梨香と三浦春馬の「大切なことはすべて君が教えてくれた」。

「フリーター家を買う」ではウツ病になった母親・浅野温子がニノの就職チャンスを奪っていくきっかけとしてケータイを鳴らすし、「流れ星」では放蕩な兄・稲垣吾郎が上戸彩の幸せを奪っていくきっかけとしてケータイが鳴る。この二つのドラマはまだ視聴率がよく、NTTドコモも寛容なところで、イメージ戦略をとっているなと感心したが、「大切なことはすべて君が教えてくれた」では不自然な三角関係の中で、武井咲(えみ)が戸田と三浦の結婚をぶち壊す使い方でケータイを多用する。ちなみに視聴率は、初回12.1%、2話11.6%、3話10.5%で、4話は一桁台が予想され、月9ドラマとして最低の視聴率さえ叩きかねない状況にある。

この3つのドラマで面白いのは、コマーシャルとして渡辺謙の非常に楽しいスマートフォンのCMが流れていることだ。

一時は深読みして、ははぁん、NTTドコモはケータイは悪魔のツールとして印象を与え、スマートフォンを売りたいのだなとも考えたが(爆)いくらなんでもそこまで腹をくくっているわけもなく、時代性を反映したドラマ展開をする場合、どうしてもケータイはストーリー上、そういう使い方になってしまい、ストーリーの中まで口だしはできない中、とにかくケータイを登場させる時には、良くも悪くも人生の何かを変える象徴として、また機能紹介的に扱って欲しいという意向だけは伝えてあるのかなと…。

ところが、「大切なことはすべて君が教えてくれた」は今クールの中でも珍しい恋愛ドラマであり、恋愛関係の中でも三角関係というキツイ状況の中で、不幸なケータイの使い方をすると、まったく見ててうんざりするような雰囲気となっている。

月曜日ドラマの鉄則は、週初めらしく元気がでる、元気をもらうような内容でないと成功しないという法則も忘れられているし、これは前々回のキムタクの低視聴率月9ドラマ「月の恋人」にも言えることだ。

今回の「大切なことはすべて君が教えてくれた」ではキャスティングやストーリーに問題があることもあるが(三浦の教師役は若すぎる、教師が何も考えないで武井と寝るわけないだろう、もともと台詞のヘタな(小池という曲で披露)AKB篠田があまりにもヘタすぎる、など突っ込みどころ満載)そこに、この関係をさらに悪化させる使い方で最新機種のケータイが登場しては、もう大人のイジメの世界の増幅でしかなくなってくる。

スポンサーとして、ちゃんと口だししないと(爆)ダメだと思う。

明確に言うと、恋愛関係ドラマをケータイで事件的に展開するのはあまりに前近代的すぎるのだ。

昨今の女子会ばやり、グループイベント、大人数グループアイドルばやりを見ていると、やはりソーシャルな関係、ソーシャルネット系に寄っていく方が「イマ」なのだと思う。

ところが、スマートフォンを出していいドラマができるとは思わないし(ツイッタードラマ「素直になれなくて」の失敗もある)ソーシャルの淡い関係をドラマにできるわけもないのだが、そういう意味で、まだ世の中にソーシャル・シナリオが確立していないだけかもしれない、と考えるのはあまりに楽天すぎるかw

CMでは、かなりハイレベルのスマートフォンCMができているが、ドラマで自然になじんだ感じでスマートフォンを好印象に展開できれば、普及をさらに加速させるだろうにといらない想像をしてしまう。

今回の「大切なことはすべて君が教えてくれた」の失敗で月9ドラマ枠自体がなくなるのではという声もあがっているらしい。

作家と俳優の力だけに頼っていては、ソーシャル時代のソーシャルドラマはつくれないに違いない。現実世界はどんどんソーシャルになっていくから、ドラマに対する違和感はだんだんと酷くなっていくような気がする。

誰か、ソーシャル・ゲーム(人間関係)でわくわくドキドキするような、新しいドラマを作ってくれませんか?

もう刑事ものも、犯罪ものも、弁護士ものも、医師ものも、飽きちゃったから、よろしくお願いしますね。と一方的なお願いしておきまするw










トラックバックURL

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
tora7
snafkin7
30数年広告畑で畑を耕しています(笑)コピーライターでありながら、複雑系マーケティングの視野からWebプランニング、戦略シナリオを創発。2008年2月より某Web会社の代表取締役社長に就任。snafkin7としてのTwitterはこちらからどうぞ。Facebookはこちらから。
最新コメント
月別マーケティング