2011年01月08日

テレビと雑誌とツイッター

去年のこと。ドラマ「素直になれなくて」の脚本家が影響度の高いツイーターにリツイートをお願いしていた。視聴率をあげようという考えからだった。その脚本家はドラマがはじまる前になると集中的にツイートし、ドラマ中も解説するという熱心さだった。しかし、上野樹里や瑛太を起用している割には視聴率は低迷したまま、ツイッタードラマと宣伝していたわりには、ツイッターの世界はストーリーに盛り込まれず、単にツイッターで知り合った人間がオフ会を開いて仲良くなり、その関係を展開するだけの恋愛ものに終わってしまった。

単なるトレンディドラマとして捉えるなら、トレンドの道具としてツイッターを絡めることはそれでいいのかもしれない。しかし、このテレビとツイッターの関係はあまりに不幸すぎたように思う。強引なプッシュ戦だったからだ。

ツイッターはコミュニケーションもできるがどちらかというと、ニュース性の高いツールだ。用意したコンテンツや誰も知らない事実、知らせたいものの告知として機能する時にかなりの波及力をみせる。最近では、AKB48の板野友美(ともちん)が実の妹との2ショット写真をツイッター上にあげ、1/2アップから1/6のYahoo!トピックスにあがるまでに延々とネット上を賑わした。実の妹写真の公開ということでとてもレアで価値高かったということだろう。しかも板野友美をフォローしている人は17万人いるので初動の幅がかなり広かったと思う。また同時にツイッター利用がプロ級だったのはこれもAKB48の篠田麻理子(まりこさん)だった。紅白の舞台裏でメンバーが年越しそばを食べてる写真などをあげ、紅白→CDTV→あけましてAKB という生放送3連発をツイッターで案内し、ファンはテレビ欄や出演スケジュールサイトを見ずしてきっちりと彼女らが何に出演するかを知ることができた。これなどは数値の図りようがないのだが、視聴率アップには貢献しているのだと思う。篠田麻里子をフォローしている人は24万人、リツイート連鎖すればすぐに100万人規模に達し、かなりの影響力を持っている。

この頃では、番組自体がツイッターでアカウントを持ち、告知およびコミュニケーションに使っている例が多々ある。自分がフォローしている中で「情熱大陸」や「ネ申テレビ」などは番組予告を頻繁にツイートし番組感想を吸収している。「情熱大陸」にいたっては、番組開始の時間が近づくと、「トイレにいっておいてください」と案内するほど丁寧につぶやいている(笑)このパターンは、テレビに限らず、「週刊ダイアモンド」などの雑誌でも行われ、何が特集されているか、読みどころなどが案内され、自分自身、これを読んで、今週買うか買わないかを判断している。どちらかというと、この案内に刺激され、買ってしまうことが多いから、販促として実にうまい使い方をしてるなと感心する。またこのパターンは、ブロガーのNEWブログ記事の告知としても定着している。

ツイッターはミニ告知(予告)のスタイルで、マス媒体、ネット媒体とうまく連結しているように思う。しかし、これが成功するには、ツイートする人がネットリテラシーがあり、真剣に取り組んでいる場合に限るように思う。「情熱大陸」「週刊ダイヤモンド」「篠田麻里子」のツイートを見ていると本当にきめ細かく、伝えようとしている意志を強く感じる。このスタイルのツイッター利用はリーチの編み目を本当に細かくしているようで、効果的だ。

先日、仕事の合間に喫茶店のテレビで見ていたが「笑っていいとも」でもツイッターが活用され、視聴者のツイートを番組の企画に反映していた。そして先ほどのスタイルももちろん活用し、テレホンショッキングの次回ゲストをツイッターで案内しているようだ。まだフォローしている人は1万8千人程度だが…。

あとスポーツのライブ放送の時には、ツイッターが祭り状態になって面白い。サッカーのワールドカップ、野球の日本シリーズの時は本当に楽しんだ記憶がある。ツイッターはとにかくスピーディなので、生放送とリアルタイムにクロスができる。ニコニコ動画のコメントつけのような楽しさがある。

かなり前にも書いたが、つぶやき以外に商用利用する時は、ツイッターは仕掛けるものではないことを肝に銘じておかねばならない。本当に告知したいことを告知し、自然体で評価を待つことが大切で、評価があれば自然にリツイートされていくだろう。よく販促の試みで、この記事をリツイートしてください、というのがあるが、いちばん最初に書いた脚本家のような恣意的なリツイート促しは必ずどこかでつまづいてしまうはずだ。

テレビのみならず雑誌(価値のあるコンテンツを有している場合だけだが)とツイッターは非常に相性がよく親和力が高いと思う。

クロスメディア手法として、早く効果が期待できる。これはツイッターのソーシャル性よりもニュース性をみつめた活用だと思う。



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snafkin7
30数年広告畑で畑を耕しています(笑)コピーライターでありながら、複雑系マーケティングの視野からWebプランニング、戦略シナリオを創発。2008年2月より某Web会社の代表取締役社長に就任。snafkin7としてのTwitterはこちらからどうぞ。Facebookはこちらから。
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