2010年09月26日

16歳の渡辺麻友が経済誌で語っていたこと。

週刊ダイヤモンドの9/25号「アキバ変態(メタモルフォーゼ)」は非常に濃く、いい内容だったと思う。なんとP28〜P79までが、かなり力を入れたなという特集記事。以前、翼で「世界の中心は秋葉原という物語は1995年から始まった」を書いたが、週刊ダイヤモンドのこの特集が横にあれば、もっと整理して書けたのになと思う。今のところ、アキバの歴史をこれほど細密に整理したものを見たことがない。

この「アキバ変態」特集で、いちばん気になったのは“TO”=トップオタというキーワードだった。マーケティングのイノベーター理論に代表的なピラミッド図があるが、

イノベーター(革新的採用者・トップオタ)2.5%

アーリーアダプター(初期少数採用者・コアなファン)13.5%

マジョリティ(多数採用者・普通のファン)68.0%

ラガード(採用遅滞者)16.0%

従来のマーケティングでは、イノベーターはあまりにも少数の上に一般常識からかけ離れた価値観を持つため、アプローチとしては除外者だった。しかし、アキバビジネス、特にAKB48のファン獲得戦略では、イノベーターの囲い込みを行い、アーリーアダプターを動かしていくという、かなり着火点を狭くしたものだと指摘されている。

翼での自ブログ記事「気がつけば、ネットワークはなくなっていた」で混乱気味に書いているが、この図式上であらためて整理するならば、インターネットによるダイレクトラインというのは、マジョリティとの結びつきでアーリーアダプターとの結びつきでもある。

要は今まではアーリーアダプター→マジョリティというネットワーク拡大があったが、今はTwitter&Blogがあるために、そのルートが切断され、アーリーアダプターのネットワークが弱々しいものになっているのではないかと思う。最近になって、イノベーターや“TO”=トップオタがキーになってくるのはそういうことなのだと思う。

前回とりあげた「おかりえちゃん」も実は“TO”=トップオタとしての発信者であると考えるとわかりやすい。イノベーターがネットワークではなく、アーリーアダプターとマジョリティとTwitter&Blogでダイレクトに結びついているのだ。

週刊ダイヤモンドのこの特集で、NO.1オタク(萌え系)アイドルとしてAKB48のBチームのリーダーである渡辺麻友(まゆゆ・16歳)が3ページにわたって、インタビューに応え自分でも語っているが、彼女も筋金入りのアキバオタクであり、“TO”=トップオタであることは知られている。彼女は週刊ヤングジャンプで「2次元しか愛せない」という漫画も9月から連載をはじめ、このインタビューでも「秋葉原には家電からアニメ系のグッズまで、あらゆるものが揃っていて、私にとっては街全体が夢の国」「もしAKB48のメンバーじゃなかったら、一オタクとして秋葉原に通い詰めていたはず…以前はマイナーなジャンルの趣味が公の場で語られることはなかったと思うんです…秋葉原にはアニメやゲームなどのオタク系の趣味が完全に根づいている」と語っている。

また、私の知る限りでは、チームAの指原莉乃もメイド喫茶によく通うほど、またオタ芸を明治大学で伝授するほどの“TO”トップ・アイドルオタだし、AKB48内に外側と同列の“TO”がいて、共鳴させているところが凄いなと思う。渡辺麻友にいたっては、アニメイトでも本店にこだわっていて、池袋の乙女ロードの常連であり、フィギュアとかを見つめている姿は近寄りがたいほどだ。

どうやら、迷走していた自分のネットワーク論もこういうまとめ方ができるのかもしれない。

もはや、昔のように発信者と受信者が明確にわかれているわけでもなく、“TO”レベルの受信者から発信者が生まれ、それとファンとがTwitter&Blogでダイレクトに結ばれ、時々リアルに結ばれ、ゆるくマスメディアで結ばれている世界。マスメディアはラガードまで着地という意味で重要となる。

おそらく、マーケティング理論が示しているステージはもう、次のステージへと移っているのだと思う。そして、ソーシャルネットワークまで踏み込んで言えば、“TO”レベルが絡んでいないと、淡いネットワークとして存在するだけだと思う。ベネフィットが絡んでいる場合は絡んでいる時だけのネットワークとして、持続的なものではないと…

しかし、ビジネス雑誌で、16歳の渡辺麻友が秋葉原の魅力を堂々と語っている。

あらためて凄いなと思う。

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30数年広告畑で畑を耕しています(笑)コピーライターでありながら、複雑系マーケティングの視野からWebプランニング、戦略シナリオを創発。2008年2月より某Web会社の代表取締役社長に就任。snafkin7としてのTwitterはこちらからどうぞ。Facebookはこちらから。
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