2010年10月30日

メディアの現況をちゃんと伝えているのはどこか?

いちばん近いところで、自分のメディアの接触状況を見ると、確実にTVを見る時間が増えている。ネットについてはWeb会社をやっていることもあって、寝ている時間以外はほぼつながってる状況でどうしても増えようがない。

TVを見る時間が増えている理由はいくつかある。

1. ケーブルTVの専門チャンネルをよく見るようになった。

2. リーマンショック以来、広告構造が変わり注視している。

3. 2年前から収入が減っており、家にいる時間が多少長くなっている。

しかし、こういった自分の傾向と拮抗するメディアDATAがなかなかない。視聴率やHUT(Households Using Television)の数字では、TVは下降しているメディアとしか見えなくなっている。それで、「メディア接触時間」や「メディア接続時間」で検索すると、博報堂DYの運営しているメディア環境研究所のDATAを上手く整理、解説しているサイトに出会った。

不景気でテレビの時間も少々増加、だが…メディア視聴の構成率は刻々と変化中
個人管理人・不破雷蔵さんが運営している「Garbagenews」だが超客観的だ。

これを見ても、PCや携帯でのネット接続が大きな伸びをしているのは顕著なのだが、TV接続時間が増えていることも確認できる。少し前のテレビ東京の公開DATA(テレビ視聴率が急激な落ち込みを見せている)だけをとりあげて、TVメディアの凋落を語るブロガーが多い中、このサイトの管理人さんは、もともと視聴率の悪いテレビ東京のDATAでは客観性がないとして、つい先ほど

 主要テレビ局の複数年に渡る視聴率推移をグラフ化してみる

という記事を掲載している。これを見ると、テレビV局の悲惨な現況が再確認できるが局別の状況がわかって興味深い。こういう細かなことが検証できて人は納得するのだが、それが個人サイトでしか納得させられない現況に悲しい気持ちになったりする。ビデオリサーチはDATAの二次利用を禁止しているし、博報堂DYのメディア環境研究所も一般にわかりやすいDATAとは言い難い。

そして、私が興味深く読んだのは2009年6月の記事だった

不景気でテレビや雑誌も人気回復? メディア視聴時間全体も増加傾向に

このような傾向が生じた理由について元資料では解説がないが、「不景気でお金をあまり使わずに時間をつぶせる娯楽に、時間が費やされた」ことが原因であると想定できる。要は「外に出て遊ぶと何かとお金がかかるから、家でテレビや雑誌を見たり、パソコンでネットに接続してる方がいいや」ということだ。メディア全体の接続ボリュームが増えているのも、それを裏付けるデータとなる(……ここで「なるほど、だからマスコミは景気後退を必要以上にあおるんだ」という説に結びつけるのは、面白い仮説ではある。しかし今データからだけでその結論に達するにはあまりにも早急すぎる、としておこう)。


ここでは面白い仮説として触れている程度だが、CNET時代に、「マスコミは何故景気後退を必要以上にあおるのか?」という疑問を投げかけた記事を投稿したことがある。

必要以上に「不況」が報道される理由

この時の理由として私は

1.  心理的に恐怖を感じさせられるもの(恐慌・首切り・失業)は視聴率(部数)がとれる
2.  他人の不幸(部屋・食生活)を生でみせることで視聴率(部数)がとれる
3.  すべてを金融危機のせいにすることでスポンサーの内実を追求しないですむ
4.  マスコミ自体に派遣社員が多いから、派遣切りに執拗にこだわる。かといって、自分は派遣会社に所属しているから派遣会社を追求することはない。
5.  TV・新聞の広告不況で、かなり深刻な思いがあり、自分たちの世界観がお先真っ暗であり、それが全面にでてしまっている。

を挙げていたが、景気後退・不況をあおることによって、みんなあまり出かけなくなり、TVを見る時間が増えるとという仮説は思い浮かばなかった(笑)

本当にこれを意識しているとは到底思えないが、TVには視聴率をとるテクみたいなのが現に存在するから、もしそんなことを考えているなら凄いことだと思う(笑)

DHCの深海水のCMを見た人はいるでしょうか。サスペンスなどでよく使う海辺の崖の平場のシーン。あれは業界で視聴率獲得の定説のパロディ版となっています。
女優の入浴シーン時に視聴率が上がることは有名ですが、サスペンスなどでも理由はわからないが確実に視聴率をあげる方法があります。サスペンスのクライマックス、犯人と会話をする時、背景が海や滝だと(背景が動いているもの)グンと視聴率があがるというウソのような本当のDATAがあります。これは昔の日本テレビ・青春ドラマシリーズでも経験値としてあるようで、他校の生徒と語り合うとき、先生と生徒が語り合う時、背景に海がある、遠目に海が見えることを選んでいる場合が多い。

今日、ミュージックフェアに郷ひろみと倉木麻衣とAKB48が出ていたが、AKB48も最近、視聴率をとれる素材として、始めは日本テレビ系によく出ていたが、最近フジテレビ系にもよく出るようになっている。上で引用したDATAの中でもあまり苦戦していない局はそういうことを取り入れるのが早いのかもしれない。確かに人数が多いとミュージックフェアも豪華に見えた(笑)サスペンスの背景のように、後ろで踊っている娘たちが多いと、なんとなく脳が刺激されているような気もする(笑)

Garbagenewsの

電子書籍利用者約25%、そのうち7割強は「今後紙の本を主に利用したい」

の記事も気になるが、私は電子書籍を利用したことがないので、見るだけにとどめておきます。
 

↓snafkin7のAKB48に関する過去記事↓


AKB48は何をメッセージしようとしているのか?
あなたは何の「目撃者」でしたか?
AKB48総論 - キャズムを越えたアイドルたち
16歳の渡辺麻友が経済誌で語っていたこと
AKB48はネット社会でなぜ支持されるか?
記号の森のAKB48
世界の中心は秋葉原という物語は1995年から始まった。
「セカイ系」「ゼロ年代」にさようなら、また会う日はない
「ネ申言舌イヒ」の遊び
Googleタイムライン-ティッピングポイントの見つけ方
気がつけば、ネットワークはなくなっていた



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コメント一欄

2. Posted by snafkin7   2010年10月31日 15:41
コメントありがとうございます。
ネットTVなんかが出てくると、接触率はどうなるのかなと思います(笑)
あと、危機感は、「困り顔」みたいに自分(個人)でも演出するようになってきて、困った時代だと思いますねw
ビデオリサーチは共同資本のように見えますが、実質どこかのおかかえリサーチ屋さんみたいなんで、あんまし信用できませんね。
1. Posted by 鍛冶 哲也   2010年10月31日 10:24
以前、どこかで英「エコノミスト」誌編集長で、「日はまた沈む ―ジャパン・パワーの限界(1990)」、「日はまた昇る ―日本のこれからの15年(2006)」の著者ビル・エモットの講演を聴いたのですが。
日本では経済関係の本のタイトルは危機感をあおるような悲観的なコトバの方が売れるんだそうです。日本の出版社からそう言われたとか言ってました。センセーショナルってぇのはそんなもんなんでしょうか。
講演の内容はもう全く記憶にありませんが、ここのとこだけ覚えています。(笑)
マスメディアとの距離感ってもんが大切なんでしょうね。

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30数年広告畑で畑を耕しています(笑)コピーライターでありながら、複雑系マーケティングの視野からWebプランニング、戦略シナリオを創発。2008年2月より某Web会社の代表取締役社長に就任。snafkin7としてのTwitterはこちらからどうぞ。Facebookはこちらから。
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