2010年11月28日

プロ顔負けのCM企画力(グリコBREO)・NMB48

当初AKB48やSKE48に比べて、最初からTVレギュラー番組(テレビ東京「スター姫さがし太郎」)に出演しているNMB48は恵まれすぎてダメなんじゃないかと思っていた。しかし、回が進むにつれ、平均年齢14.7歳のNMB48は、地域性よりも世代的にまた新しい群なのかと感じるところが多々あり、ちゃんと見ていこうかと思いなおし始めている。

以前、翼に投稿した「世界の中心は秋葉原という物語は1995年に始まった」の中で、日本のネット暦元年を1995年と設定し、このネット暦元年以降生まれの世代が活躍する頃が楽しみ、と書いたが、NMB48の誕生によって、その時期がかなり早まり、もう今、来てしまったのかという気がする。

特に11/27放送のグリコ(BREO)CMのブレゼン篇前編を見ると、CM企画づくりのその瞬発力に少し目眩がしたほどだ。ひょっとしたら、それを本業とするものよりも面白い(いい)企画ができるかもしれないと…。経緯は以下の通り。

グリコから舌ケア・BREOのCMを自分たちで企画し出演して欲しいとNMB48に依頼があった。しかし全員出演することはできず、5名のみ。そこでA・B・C・D・Eチームとくじ引きでわけ、5チームの中から、優秀な案を出したチームのメンバー5名がCM出演できる。

Bチームにはトランペットができるものが3人もおり、あとパーカッションができるものが1人、オリジナル曲をつくって売り込もうと戦略をたてる。

Cチームは全員がダンス上級者。5人で振りをつけながら、4バリエーションの商品をアピールしようとすぐに練習をはじめた。

Dチームはカラーに注目して戦隊もの、あるいは、あいうえお作文などで企画を練り始める。

Eチームは、人が考えない企画を考えたいとニッチな戦略を練り始める。

Aチームはかなり悩み、Cチームの練習を覗き見し、罵倒される(笑)

総じて感じたのは、この世代は情報量が多く、情報キャッチ力も鋭い。商品の特性をつかむのも早いは、レクチャーしなくても、CMとはこういうものと始めからそのパターンを認識している。その上に自分たちの得意なものをかぶせて、新しい企画CMをもの怖じせずつくろうとしている。

ユーザーによる女子会をつくって、ユーザー本意のマーケティングを展開していくような見事さを放送1回分で感じて唖然としてしまったのだ。

あなどれないな、この娘たちw

というより、プロの企画会議も似たり寄ったりで、それよりも凄いのは、ダンスや歌が上手いので、絵コンテなしに、その場でカタチになっていく、そのスピードだ。

ネット暦元年以降生まれは、ネットを対象化しておらず、まるで世界観がネットそのもののようになっているのかもしれない。情報量、スピード、ユーザー本意、視聴者本意、そんなことをレクチャーする必要性がないのかもしれない。

昔のクリエーターはよく「世の中で何がおこっているのか、新聞を読みなさい」と言われたものだ。私は昔のクリエーターなので(笑)そう言われたし、日経産業新聞もよく目を通していた(笑)しかし、いつからか新人さんが入ってくる度、新聞を読まない、しかし仕事に関係するニュースを確実にキャッチしている若い世代が増えた。そして、いつからか、私も新聞を読まなくなってしまった。新聞休刊日なんかもあるからだ。事情はいろいろあれ、ニュースを伝えようと思わないのかと、苛立ちを覚える派にいつのまにかなってしまった(笑)

インターネットのなかった時代を知ってる人間は、インターネットによって世の中はだいぶ変わったと分析する。

しかし、インターネットのなかった時代を知らない人間は、その対比の世界観はない。いいも悪いもインターネットありきなのだ。そして情報リテラシーが自然と身に付いていて、取捨選択力もあるのではないかと思う。

もしもNMB48(ネット暦元年以降生まれ)が、ネットリテラシーあり前提なのであれば、いきなりのTVレギュラー出演も悪い方向に動くことはないのかなと思う。彼女らは、TV出演、マスコミ露出で舞い上がることなく、ネットでの評判、そういう評価があることを既に知っているからだ。TVが最高のメディアだとは、はなから思っていないのだ。

ある意味、たくましい世代がこれから出てくるように思う。この世代は傾向的にひきこもったり、うつになったりしないのかもしれない(もちろん人によるでしょうが…)

この世代が高校を卒業するのが、2013年あたり

この世代が大学を卒業するのが、2017年あたり

先を悲観するより、先に期待するという立場でありたいな。

その時、私は、まだ現役でいられるのでしょうか(笑)

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コメント一欄

9. Posted by snafkin7   2010年12月07日 04:04
鍛冶さんはずっと、「インタラクティブ」にこだわってられますね。そして本当にそうだと思います。
私はパソコン通信も経験者ですが、その時はフォーラム内というか、ある部屋でわいわいやってるような感覚がありました。双方向ではあるんですけど。男9.5:女0.5くらいの割合でした(笑)鍛冶さんは、笑うでしょうが、パソコン通信やってる時、今のインターネットってものが想像できなかったんですよ。せめて女性比率3割になったらいいなとか思ってました(笑)電話番号をそこで披露する人達までいて、「いや、それマズイよ」とか指摘したり(笑)
それがインターネットで、すべてがオープンになって、すべてがインタラクティブになった。インターネットのネットワークのグローバル地図っていうのは、カオスの蝶ネクタイのような形そっくりなんですね。無秩序のようでいて、大きいところから見れば秩序がある。なぜかっていうと、すべてにインタラクティブだから…ウィキペディアの秩序ある記事が生成されていくように…
そういう自己組織化のような運動はどんどんどんどん進化していくと思うので、また、若い世代はなんかそういうことを感覚的に感じてるはずなので、何かを判断するその判断の仕方が新しいっていうことはあると思います。
NMB48のグリコCMの後篇のことはあえて、書かなかったのですが、素晴らしすぎます。関係性をつめて、つめて、ひとつのものにしていく感覚があるんですね。ひとつのことにこだわって停滞しないんです。ポンポン関係性をつめていく。次週は、グリコスタッフの前でのプレゼンテーションを披露する回なのですが、その時、もっといろいろ感じたら記事にすることにします。
8. Posted by 鍛冶 哲也   2010年12月07日 01:33
インターネットは始まりの頃からインタラクティブなところが注目されていましたが。今でもやっぱりそこが大事だと思います。ネットは発信を自由にした。でも発信に対するリアクションもあるわけで。そのリアクションも気にしていることで、健全な世界との関係に一歩近づいていけるような気がする。ネットのリアクションは時に過激で、時に超ダイレクトなので、その世界は「空気読めない」とか気にしている世界よりももっとシビアな気がします。ネットはハンパないんでイエスからノーまでの幅がメッチャ広い。その幅の広さを受け入れていくとすれば自分の幅もきっと広がるだろう。それを受け入れるならばキャパが広がるにちがいない。
7. Posted by snafkin7   2010年12月04日 15:49
鍛冶さん、すみません、
ノーガードにしたら
こうなってしまいました。
認証だけはかけることにしたました。
また、即反映モードにすることにしました。
6. Posted by 鍛冶哲也   2010年12月04日 07:52
あらあら?ログインせずにコメントいれちゃった。↑
なんかシステム変わったみたいですね。
5. Posted by 鍛冶哲也   2010年12月04日 07:48
情報の大海みたいなものの中に自分は漂っていて、自分の発言や行動に対して他からのリアクションがあって、自分もまた他へのツッコミやら煽りやらしてインタラクティブなやり取りがあって・・・
自分の立ち位置についての相対的な見方ができて
この世界に属しているんだというまっとうな感覚があるんだとすれば、それは望ましい世界観なんだろうなという気がします。
気になるのは、そんな彼らがリアルとバーチャルをどんな風に感じているのだろうかという点。
 
なんの根拠もないんですが、リアルとバーチャルが融合するのは、もう少し先なのかなという感じがあります。なのでそこのバランスをうまくとって欲しいなと思う。
逆に言うと、そこのバランスがうまくとれないと、なんかマズイことになるような気がする。なんとなく。
4. Posted by snafkin7   2010年11月29日 04:24
鍛冶さん、コメントありがとうございます。
ひょっとのひょっとですが…
情報過多をなんとも思わない、情報洪水に耐性ができてる世代がもうかなりいるんじゃないかと思います。
彼らに期待するとともに、こちら側としてまだ仕事にこだわれば、彼らのインサイトゾーン(本音ゾーン)とは何かなと思ったりします。
ひとつ思うのは、暗くもなく明るくもないようなところでの、たんたんとした世界みたいなものかなと…よくわかりませんが…
彼らはおそらく、お笑い芸人が広めたような「空気読め」なんていうことも鵜呑みにしませんし、そんなことは発達した情報センサーでなんなくこなしていきそうに思います。
友達と話していて「3次元の恋愛の話はやめてよ!!」と真剣に怒っていたAKBの渡辺麻友でも1994年生まれです。このシーンをTVで見ててぶったまげた私ですが、1995年以降生まれの感性っていうのは、さらに、興味深いです。
3. Posted by 鍛冶 哲也   2010年11月29日 01:04
私はデジタルネイティブ世代ではないので、オールドタイプに属します。デジタルネイティブの世界観を私は知りたいと思う。彼らはどのようにこの世界を感じているのか。
どうも今のこの時代は、世代間のギャップが大きいと感じています。ネットに無縁の人もいる。ネットにワイアードな人もいる。
Before InternetとAfter Internetで歴史が切り分けられる。そこに大きな断絶がある。1995年がその境目であるなら、私たちはその大きな転換点をリアルタイムに体験しているのかもしれない。
自分はニュータイプではないけれども、世代交代はとっととやって欲しいもんだと強く思う。どっちみち後戻りなんてできないんだから。変化のスピードに無自覚な、古いものが多すぎる。変化の中で変わらないものは取り残されるしかないじゃないか。
どっちに属したいか。その選択を迫られている時代なんじゃないかな。「激動の時代」っていうと、なんか言葉としては古臭いけど、今はその「激動の時代」なんではないかと私は思います。
2. Posted by snafkin7   2010年11月29日 00:34
脇村さん、コメントありがとうございます。
デジタルネイティブ…まさしくそうですね。
くじ引きで選んだ5人のうち3人もトランペット吹けるっていうのにも驚きました。行動力もかなりみたいですね。デジタルに対するバランス感覚があるんだと思いました。
1. Posted by 脇村 隆   2010年11月29日 00:21
デジタルネイティブという言葉もありましたが、まさしく、ネットのスピード感やトレンドの移り変わりを感じる感受性、ケータイなどを含め、常に情報を多く知るという環境・・・。
この年代でもプロ顔負けのもの、上の世代の情報量に追いつくスピード、そういったものが起こすものに期待します。

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30数年広告畑で畑を耕しています(笑)コピーライターでありながら、複雑系マーケティングの視野からWebプランニング、戦略シナリオを創発。2008年2月より某Web会社の代表取締役社長に就任。snafkin7としてのTwitterはこちらからどうぞ。Facebookはこちらから。
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