平均20%超えドラマは消滅したが、今どきのドラマは出現している。
日経エンタテインメント2011.1月号によれば、ドラマ、バラエティともに視聴率・平均20%を超える番組は姿を消したそうな。
ドラマでいえば「龍馬伝」も前半、快調にとばしたものの、西郷隆盛が出てきたあたりから下降し、平均18.6%にとどまった。高齢層に人気のある「相棒9」ですら19.0%。
そういう状況の中で2010年度のドラマで4位に入ってる「フリーター、家を買う。」(平均視聴率16.9%)は嵐の二宮和也、香里奈が出てるとはいえ、結構、今の家族の関係性を描きながらも、メッセージにソリューション要素も入っていて、真剣に見ている人が多いのではないかと思う。
上戸彩、竹野内豊出演の「流れ星」(平均視聴率13.8%)も近いものがあるが、こちらは臓器移植の問題も絡んでいるので、家族の関係性を少し非現実にしてしまっているような気がする。
「フリーター、家を買う。」の方は、冷め切った家族関係の中で、信じること、信頼されること、頼ること、頼られること、の大切さをウツ病の母親を通して再発見していくのだが、台詞もそうだが、二宮くんのナレーションのつぶやきが今にかなり刺さるメッセージとなっている。
就職できないが、土木のアルバイトで人と人とのあったかさを知る僕。
医者の家に嫁いで姑にツライことばかり言われるが自分を通す姉。
近所からのイジメにあい、ウツ病になった母。
二流商社に勤め、ITについていけないで部下から馬鹿にされている父。
父は僕を就職できないダメな奴とののしり、僕は父を家族をかえりみないダメな奴とののしり、険悪な関係なのだが、僕はアルバイト先で頼られる嬉しさを知り、父親にも頼るというアプローチを試みると、本来の親子関係を取り戻しはじめる。かなりツライ立場にいる姉だが、ウツ病になっても自分や弟を信じてくれている母に感動し、時々実家にもどってきては、父も実は愛情いっぱいなのだと気づく。そして本来の親子関係を取り戻す様子に微笑むウツ病の母。母は病みに病んでも家族全員をずっと信じていてくれている。
「信じる」「頼る」
現在には、この二つが欠けていて、ただそれだけで、なんとかなるものだと教えてくれている。
逆に言えば、現在は何事も信じられない、頼ることができない時代。いつのまにか、そんな殺風景な時代の中で、「人を信じること」「人を頼ること」を私たちは忘れてしまっていたのだ。
特に、「人に頼りなさい」なんていう助言をする人は本当に少なくなっている。
(困り顔ブームもそのひとつか???)
「人に頼るな」「人に頼るなんて恥ずかしいこと」はよく聞くけど、たまに頼ってあげると、相手は嬉しいもので、あったかい関係がつくれるなんていうのは私自身初めて聞いたような気がする。
昔は、そういうことをおじいちゃん、おばぁちゃんが教えていたことなのかと思う。
「フリーター、家を買う。」がキムタクの「月の恋人」より0.1%上回り、堂々とドラマ部門で4位に入っているのはそういう新しさがあるからだと思う。
しかし、今年はそういうあたりをせめているドラマが多かったように思う。「絶対零度」「医龍3」「Q10」「霊能力者小田霧響子の嘘」などもカタチは違うが人と人との関係性の見直しを試みているような感じがした(している)。
視聴率平均20%超えはできなかったとしても、今やドラマがつまらなくなったわけでもないと思う。自分のスタイルや好みにあったカタチで、今欠けてることをストーリーで補っているのであれば、それはそれでとてもいいことだと思う。