2015年09月

2015年09月20日

日米安保とGoogleの関係

安保関連法案は可決されたが、可決されるまでの幼稚な是非闘争にはほとほと呆れた。どれだけこの国には芯のある基準のないことか。
60年、70年安保闘争を美化する気はさらさらないが、2015年の国会議事堂前および各地の安保関連法案反対のデモは、歴史と現在がまったく見えていない白痴の集まりに見えた。
日本国憲法および特に第9条などは、極端に言えば、もともと敗戦してなお、二度と戦争を仕掛けてこない国にするために、アメリカ管理の元につくられたものだ。また、日米安全保障条約は、丸腰同然になった日本のままでは、中国および当時のソ連を牽制できないために、アメリカの極東の舵取りを自由にするために追加されたブログラムだ。そして、今回の安保関連法案は、アメリカに従うことを前提に、少しづつ弱体化するアメリカの世界警備を補完するものとして、つきつけられた要求で、60年安保で自立の道を選ばなかった日本は、飲まざるをえない状況で、今回の安倍内閣のとった道は至極自然な判断といえる。
これから、司法がこれを違憲とするかどうかという流れがあるが、限りなく違憲に近い関連法案であることは確かだが、日本国憲法そのものが自立の憲法でない限り、司法も自立しているわけもなく、解釈論争に終わって、結局はうやむやになり、明確に違憲とは断言できないことになるのは目に見えている。
安保関連法案に関しては、ギャーギャー言っているものの、情報の世界では、日本人はGoogleを平気で使っている。その神経がまったく解せない。自国の検索エンジンでない限り、情報統制やフィルタリングはあっても当然の話。しかし、日本人の無意識の中には、「日米安保で日本はアメリカに守られており、その仲良しのアメリカが、検索エンジン上で極端な情報統制やフィルタリングしないだろう」という甘えのもと、GoogleおよびGoogleを利用したYahoo!の検索エンジンを何の疑いもなく使っている。現在では、戦争や攻撃はインターネットを利用したサイバーの世界も重要であるから、本当はこちらにも目を向けて当然だが、その辺はまったく脳天気だ。
ただ、2006年頃、ナショナル意識たっぷりに、経済産業省が強引に推し進めようとした「国産検索エンジンをつくろうという、情報大航海プロジェクト」なるものがあった。国家予算300億円を投入して3年後に実用化を謳っていたが、これは利権と金にまみれた泥船となり、150億円を使いながらも3年で頓挫した。2007年の自ブログでこの情報大航海プロジェクトを批判している記事がありますが(情報大航海プロジェクトなんてのがあった) 中身は本当にひどいもので、150億円もの税金をドブに捨てたカタチとなっています。Googleを凌ぐ検索エンジンなど、つくれる自信もないくせに、民間、大学やお金の欲しい、コンサルなどにいいようにされて、終わっている。ここにも、危機意識やサイバーリスクの切実感なぞはなく、どうせアメリカ(Google)は日本を悪いようにはしないという甘えがあったことは確かだ思う。(アメリカに危機意識をふんだんに持っている中国などはGoogleを排除(撤退)し、独自の国産検索エンジン「百度・バイドゥ」が普及している)
こういった緩い反動の動きがいちばんの癖もので、Googleがあるからそれにちょっと対峙してみる、今回の安保関連法案への反対も、安保があるからそれに対峙してみる、だけで、Google以上の検索エンジンも作れないくせに、安保および関連法案以上のプランのかけらも作れないくせに、「反対・反対」と言っている。構造的には同じで茶番にすぎない。
しかし、2000年頃にはケータイネットの世界では、素晴らしい国産の検索エンジンがいくつかあり、頼もしく感じたが、GoogleとYahoo!が飲み込んでいってしまった。
自分は、どちらかというとGoogle賛美者であり、安保関連法案も今の時代の流れでは仕方のないことと考えている。しかし、何もかもアメリカが好きではなく、戦争ももちろん反対だ。ただ、この敗戦国には自立の根拠がなく、根本を据える軸があまりにも空虚すぎる。
裏構造の関係では、Googleを使っている人が多い限り、安保関連法案の反対派は50%を超えることはないだろう。だから野党などが、安保関連法案が来年の参院選挙の争点といきまいているが、そうはならないと予測できる。日本は良くも悪くも60年安保で自立の道を選ばなかった。今の歴史は幸か不幸かその延長線上でしかない。Googleを使い、安保関連法案の中で絶対戦争はしない道を歩んでいかざるをえない状況にある。


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snafkin7
30数年広告畑で畑を耕しています(笑)コピーライターでありながら、複雑系マーケティングの視野からWebプランニング、戦略シナリオを創発。2008年2月より某Web会社の代表取締役社長に就任。snafkin7としてのTwitterはこちらからどうぞ。Facebookはこちらから。
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