2014年12月

2014年12月03日

AKB48新解釈学 希望的リフレインは、希望的リフレになりうるか?

AKB48の楽曲にひさびさ強い四つ打ちのビートが戻ってきた。ちょうど4年前、「AKB48は何をメッセージしようとしているのか?」で日経エンタテインメントの図を引用したように、自分にとってAKB48の最大の魅力は、アイドルグループであるにもかかわらず、ダンスビート、中でもシカゴハウスの流れをくむ四つ打ちビートを多用してることと書いてきた。
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カラオケ狙いの「ヘビーローテーション」のようなロックビート、東日本大震災以降のややビートを抑え気味の曲が続いたことは仕方ないにしても、劇場原点のAKB48の歴代アイドルの中での固有のポジションは、やはり世界の音楽史の中で人間の無意識の扉を開く、四つ打ちを基本にした強いダンスビートなのだと思う。
38枚目シングル「希望的リフレイン」のミュージックビデオは、AKB48歴代センターのリレーで構成され、その“受け継がれ”が話題になっているが、その前に、この曲のビート自身が、シカゴハウス→アシッドハウス→インドゴアで磨かれたサイケデリックトランス→スペインイビザ島を経由して、ヨーロッパに渡り、セカンド・サマー・オブ・ラブのテクノビートにも定着、それが日本のアイドルサウンドで再現されているところが本当に驚異なのだ。レトロなディスコティックサウンドを再現し、サカナクションと同じく「ファ」の音を削ぎ落したオシャレ感漂う「恋するフォーチュンクッキー」もそれなりに魅力的だが、AKB48らしさがぷんぷんするのは、「大声ダイヤモンド」「言い訳Maybe」「ポニーテールとシュシュ」などの青春シリーズで、ライブではかなり脳がやられてしまう強いビートのものだと思う。

そして、今回の「希望的リフレイン」がAKB48にとって重要な意味を持つのは、選抜メンバーにかつてないほど、次世代メンバーが起用されていることだ。まゆゆ(渡辺麻友)とともにWセンターとなっているHKTの宮脇咲良や兒玉遥、こじまこ(小嶋真子)、なーにゃ(大和田南那)、高橋朱里、田野優花、武藤十夢、白間美瑠などが入り、TVでは三銃士、岡田奈々、西野美姫なども入り、旧メンバーを圧倒している。HKT48は、らぶたん(多田愛佳)、かのん(木本花音)なども移籍・兼任してかなり見ばえのするものとなっており、松岡菜摘、田島芽瑠など個性派もいて、48グループ中でも新潮流の息吹を感じるものとなっており、そのセンタークラスの宮脇咲良、兒玉遥の二人が「希望的リフレイン」に参加するだけで、全体的にフレッシュな印象が強くなっている。逆にトラブル続きのみるきー(渡辺美優紀)や体調不安の松井珠理奈などは色あせて見え、ぱるる(島崎遥香)、あんにん(入山杏奈)、川栄李奈、木崎ゆりああたりがいれば、高橋みなみや小嶋陽菜はもういいんじゃないかとまで見えてしまう。

それで、まゆゆ(渡辺麻友)よりも光っている実質センター、知性派の宮脇咲良がNHKのAKB48 SHOWで語っていたように、「希望的リフレイン」のミュージックビデオは、上に書いてきたことを証明するかのように、アイドルの本質を浮き彫りにしている。高橋みなみ→前田敦子→大島優子+板野友美→と金のマイクが入ったカバンがリレーされていくが、アイドルに絶対性がないことがこの映像によって、感じさせられる。前田敦子がAKB48のエースであった時は、その時の時代の気分とセットであって、時代が変われば、エースは次々と変遷していくもの。アイドルに絶対性はなく、時代とともに意味性が変わってアイドルは相対的な点として変容していく。あの絶対的エースと呼ばれた前田敦子ですら、この映像の中では、もう別のメタファーとしてしか映らなくなっている。



アイドルも関係性だけが疾走していく。ロランバルト風に言えば、アイドルという主体に意味はなく、関係性から巻き起こるその時の風に意味がある。

あと、上に書いたメンバーの中で、多田愛佳、松岡菜摘、木本花音のHKT組がAKB48 SHOWで意味深なコント(金のスマホ)を演じていたので、最後に書いておく。

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まず多田愛佳が池にスマホを落とす。池の中からは神様が出てきて、イソップ童話の「金の斧・銀の斧」のように、落としたのは、この金のスマホかと問う。神様は正直者の多田愛佳に金のスマホをしきりに渡そうとするが、多田愛佳は金とかゴールドとか、そんなスマホより自分のスマホを返して欲しいと神様を罵倒する(笑) そして第2話では、ガラケーしか持っていない木本花音がスマホ欲しさに、わざと池に投げ、神様があなたの落としたのは金のスマホですか?と問い、そうですと嘘を言って、神様から罵倒され、金のスマホを手に入れることができないが、ガラケーも水没して、友達が一人もいなくなって、一生みじめに一人で暮らすことになったらどうしてくれるの?と神様に詰めより、神様がおれて、金のスマホを渡すことになる。

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このコント「金のスマホ」の第1話では、道徳的価値<金銭的価値<情報価値 が示され、第2話では情報価値そのものが社会的価値であることが示され、関係価値(ネットワーク価値)そのものが絶対的なものとして示される。



「希望的リフレイン」のMVにしても「金のスマホ」のコントにしても、関係価値(ネットワーク価値)を強調している。これはいかんともしがたいほど新しい。新世代によって再生をはたしたAKB48グループはまだまだ前に進みそうな雰囲気だ。





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30数年広告畑で畑を耕しています(笑)コピーライターでありながら、複雑系マーケティングの視野からWebプランニング、戦略シナリオを創発。2008年2月より某Web会社の代表取締役社長に就任。snafkin7としてのTwitterはこちらからどうぞ。Facebookはこちらから。
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