2013年08月

2013年08月25日

あまちゃんの現象学

RIKO
NHK連続テレビ小説「あまちゃん」が何故ヒットしているかは、もう随分語られてるみたいだから、ここでは結構、私的に語ってみる。初めは宮藤官九郎が脚本ということで興味本位に見ていたが、能年玲奈橋本愛のツートップが露出してきたあたりから、かなり華やかだなと……そして第73回を機に、このドラマは(未来の)オールスターズだなと思い始めた。「あまちゃん」でいちばん衝撃を受けたシーンは、東京に出てきたあまちゃんがアメ横女学園の新人2人に出会ったところだ。

アメ横女学園出席番号36番 高橋アリサ(吉田里琴)
アメ横女学園出席番号37番 成田りな(水瀬いのり)

この2人の自己紹介は衝撃だった。吉田里琴は13歳ながらもう既にメジャードラマや映画をこなし、今は「雨と夢のあとに」キャラメルボックス公演の主役をこなしている。水瀬いのりも女子高生ながら声優で伸び盛りの女子だ。この2人が「あまちゃん」では短いシーンの脇役で、しかも短いシーンながらもドラマをキラキラさせる重要な役割をはたしている。

またアメ横女学園のセンター 有馬めぐ(足立梨花)は実際に第32回ホリプロタレントスカウトキャラバンで5万人の中から秋元康含む審査員の満場一致でグランプリに輝いた存在だ。

そしてGMT47のリーダー 入間しおり(松岡茉優)は「鈴木先生」や「桐島、部活やめるってよ」で好演していた娘で、この第73回でも一挙一動が上級の役者であることを自然に発散させていた。あとGMT福岡代表の遠藤真奈(大野いと)は映画「おっぱいバレー」のロケ中にスカウトされた逸材、宮城代表の小野寺薫子(優希美青)も第37回ホリプロタレントスカウトキャラバンで3万人の中からグランプリを獲得、徳島代表の宮下アユミ(山下リオ)は12代目三井リハウスガールと、なんと豪華な脇役陣。

さらに時代をスリップすれば、天野春子(小泉今日子)の若き日の役が(有村架純)、天野夏(宮本信子)の若き日の役が梅ちゃん先生に出てた(徳永えり)、男でも黒川正宗(尾美としのり)の若き日を映画監督でもある(森岡龍)が演じている。

まぁとにかく歌番組の司会に糸井重里清水ミチコ小籔千豊久保純子、ADにあべこうじ、橋幸夫ショーの司会にマキタスポーツと、毎回、毎回、新鮮な人物が登場し、ピエール瀧が寿司屋の大将で頻繁に出てくるのも笑けてしまう。

まぁとにかく、飽きないのだ。このドラマには一体総勢何人の役者やタレントが出ているのだろう。

「あまちゃん」を見ていると、古い役者もがんばっているし、これから活躍する新人もがんばっているし、タレント名鑑を見ている楽しさがある。しかもコンビニなどによってグチャグチャになった都会と田舎の並列化も見え、今の日本の文化進度を示しているようで、とても愉快だ。

能年玲奈が「あまちゃん2」をやって欲しいと語っていたが、このドラマはいつまでも続いて欲しい虚構だ。早稲田の岡室美奈子教授が「震災後の日本の現実に“あまちゃん”という虚構がいかに働きかけていくか」と論じていたが、まさに震災前を振り返ることで得るものも大きいことがわかる。そして、ドラマの中で震災に直面し、“あまちゃん”の虚構の人物たちは、何を思い、行動するのだろう。

少なくとも“あまちゃん”の虚構の人物たちは夢見ることは忘れないだろう。現実を直視するのももちろん大切だが、夢見ることを忘れたら、ズサンな汚染水処理を繰り返すことになる。

または、“あまちゃん”は、震災前で終わってしまってもいいのではないかと個人的には思う。


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snafkin7
30数年広告畑で畑を耕しています(笑)コピーライターでありながら、複雑系マーケティングの視野からWebプランニング、戦略シナリオを創発。2008年2月より某Web会社の代表取締役社長に就任。snafkin7としてのTwitterはこちらからどうぞ。Facebookはこちらから。
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