2013年05月
2013年05月13日
空飛ぶ広報室の現象学4

告白のシーンはオレンジ仕立て。
そして告白が実らなかった以降は、現実の事務所背景。
最近、メディア演出での色彩使いは素晴らしい。例えば、ももいろクローバーZに「青」がいない。気持ちを高揚させたいグループに気持ちを沈静化させる「青」は必要ないからだ。「緑」は存在するがかなり「黄」を混ぜた明るいグリーンにしている。完全な寒色系は使わない決意がみえる。こういう印象は意識化されないことが多いが心にはかなり響くのだ。
ドラマ「空飛ぶ広報室」の色彩演出にはかなり興味が持てるので、詳しく調べてみようと思うが、稲葉(新垣結衣)のスーツのカラーを演出ごとに追っても何かでてくるのではないかと思う。
例えば、予想として書くが、失恋して心が弱って癒されたいときにはラベンダーかパープル系、失恋してふっきったい、次に進もうという時にはイエロー系。(松田聖子をはじめ芸能人の離婚記者会見の時はほぼ黄色の服を身に着けている)
第3話だったか、居酒屋の飲み会に参加して自衛官と馴染もうとしていた時は、確かグリーンのトップを着ていたような記憶がある。これはガツガツさを打ち消す自然(人を安心させる)色であり、迷彩に象徴される自衛隊カラーに近い色。今後もより注意して見て行きたい。
今クールのドラマでは「ガリレオ」が好調ときく。自分も見ているがソツがないというか確かに面白いが、新しいものにチャレンジしているという意味では「空飛ぶ広報室」には発見が多い。そして、回を追うごとに面白くなってきているのは「雲の階段」といったところか。
今を呼吸しているドラマとしては「空飛ぶ広報室」はダントツではないだろうか。
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2013年05月06日
空飛ぶ広報室の現象学3

綾野剛が演じる空井は、稲ぴょん(新垣結衣)に情熱をぶつけたいが、気になる関係もありそれができない。しかし希望を捨てず、『エレメント』という最小単位の航空動作の比喩を使って遠回しに告白する。
そのシーンを『オレンジ』という色で見事に演出している。
情熱(赤)+希望(黄)=オレンジ
そして、オレンジは色彩心理では『意識』の象徴であり、自分の意見を主張するにふさわしい色で告白する時にふさわしい色とも言われ、コクられた方はナンパされやすい色ともされています。
視聴率をただ稼ぎたいサスペンスでは、『海バック』の波を素で見せたいところだが、それをあえて変色させて二人の関係意識に絞ってクローズアップさせているところが本当に心憎い。
自分の立場にまだ自信を持てない空井は、少しおどおどしながらも自分の気持ちをぶつけ、いい意味での飛行機バカを全開に少年みたいにはしゃいでみせる。それが綾野剛みたいなルックスだと、稲ぴょんのみならず、これを見ている女性は結構、気持ちいいモードに入るのではないかと思う。
このドラマでは言葉より、表情の細かい動きがかなりモノを言っている。
第3話の時に驚いたが、居酒屋で空井が恋人がいるように思わせぶりな発言をして、それを撤回した時、稲ぴょん(新垣結衣)は、『恋人がいるの?』と不安そうな顔から安心した表情に移し、それに心を動かせた自分自身にまた怒るような表情を数秒でやってのけた。
それは空井(綾野剛)でも同様だ。
ソシュール風に言えば、『意味されるもの』は言葉ではなく表情にあり、言葉はただの演出的な記号『意味するもの』として戯れ、このドラマは、表情で真意を追っていく興味深い対象となって、見るものを惹きつけていく力を持つことになる。しかも『意味される』内容そのものは複雑な意味を持っているわけでなく、『好き』という内容なので、このドラマをしっかり理解したものとして安心して見ることができるようになっている。
綾野剛も映画「渋谷」の頃から別人のように成長している。新垣結衣も独自路線を行く面白い役者になったなぁと……つくづく。
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