2010年07月

2010年07月29日

映画「さんかく」 シンクロしないネットワーク

雑誌SPAのインタビューで気になっていた若手映画監督 吉田恵輔の3作目となる「さんかく」が大阪にもまわってきたので見に行った。といっても実験要素の多い映画だから大阪でも梅田スカイビルのミニシアターでやってるのみ。今日の最終上映でも観客は10人程度だった。俳優は「パッチギ」「ROOKIES-卒業-」に出てた高岡蒼甫と個性派女優の田辺智子、そしてAKB48の卒業が決まった16歳の小野恵令奈(えれぴょん)と友情出演でAKB48の大島優子も出ているという不思議なキャスティング。

どんな三角関係を描くのかと思っていたら、しょっぱなのカメラアングルからフツーの映画と違っていた。そしてなんだかあの映画を見ている感覚がない。ヒキで撮ってるシーンがほとんどなく、ヨリで撮っていて、ホームビデオで撮るあの距離感、そして人物のアップを撮っている時はなんだか盗撮っぽいフレームで、自然と今の時代の空気感を出している。こんな演出で“イマ感”が出るんだと感心もした。

そして面白いことに、この映画にはドラマらしいドラマがない。ドロドロした三角関係ではなく、三角関係の線だけを浮き彫りにし、関係の関係性だけを描いている。

姉(田辺智子)と姉の恋人(高岡蒼甫)のアパートに夏休み、妹が遊びに来るストーリーなのだが、出てくる登場人物の思いはどれも実らず、一方的な思いでストーキング行為を全員してしまっている。

(1) 姉→姉の恋人  関係はマンネリ化し、ただ姉が同棲している恋人を一方的に深く思っている

(2) 姉の恋人→妹  割合、純愛的な意味で妹に好意を寄せていく

(3) 妹→東京の先輩 先輩はバイトで忙しく既に東京に彼女がいる。

そして(3)に始まったストーカー的な思い込みと行為は(1)と(2)にも伝染していき、この主要人物は全員が両思いになることはなく、ストーカーのような行いをしらずしらずしてしまう。

また、この3人だけでなく、姉の知り合いの友人、姉の恋人の職場の後輩、もある意味、ストーカー的につきまとい健全な関係はどれ一つない。

フツーの三角関係のパターンなら、姉と姉の恋人との対幻想を軸に嫉妬や妄想が生じるというものだが、この映画では、この対幻想の関係性ですら希薄で、細い線で結ばれている感じなのだ。

この映画を見ていて、ある店舗(飲食)の顧客リサーチをしていて最近のカップルの動向をまとめた時のことを思い出した。

そのチェーンのお店はカップル客が多いのだが、テーブルで真正面に向き合って、しゃべって食べるという光景がほとんどなかった。カップルは座ると、足を組んで斜めに構え、二人とも延々ケータイを手にしており、画面を見つつ時々しゃべっては時々食べるというスタイルが多かった。私は古い世代の割にはケータイは好きだが、この光景を仕事として眺めていて、かなり面食らった。おいおい、今ってこうなんだ、高校生のういういしいカップルですら、同じスタイルだった。それこそ近くにいるのに、メールやツイッターで話しかねない様子(笑)ある意味シャイでかっこいいのだがある意味病気だ(笑)

この映画が2010年の映画と感じられるのは、こういう関係性のエッセンスがうまく表現されているからだ。主要人物たちが本音なことを言う時はすべてケータイを通じて、みたいなことになっている。

人と人はつながっているのに、感情の同期(シンクロ)は面と向かってはなされない。かんなりドライでそれに対して悲しい感覚もない。しいていえば姉だけは悲しさを出しているが、一方的に悲しんでいるだけだ。

このことは、今の人と人とのネットワークを考えていこうとする時に、重要な心構えとなりそうな気がする。なかなかシンクロスイッチが入りにくいのだ。シンクロしたがってはいるのだろうけど、かなり一方的な思いが多い。

今年は韓国からも“少女時代”が乗り込み、空前のアイドルグループ戦国時代らしい。

・AKB48・SKE48

・モーニング娘。アイドリング・スマイレージ・C-ute・Berryz工房

・東京女子流・ももいろクローバー・ぱすぽ・SUPER GIRLS

これって深読みすれば、シンクロしなくなった時代に、シンクログループがシンクロするのを擬似的に眺めて、そのシンクロに酔っている状態ではないのか…???

たくさんの蛍がシンクロして一斉に光るのを楽しむ、たくさんのコオロギがシンクロして一斉に鳴くのを楽しむ、そういうものかもしれない(笑)

“さんかく” とはクラスターの最小単位。この希薄なクラスターの中、最近の流行の構造はどうなっているのか、これからいろいろ見ていきたいと思う。

↓snafkin7のAKB48・SKE48・NMB48関連記事↓

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AKB48論のまとめ集



2010年07月17日

AKB48論のまとめ集

どうやら今の自分は「AKB48」に熱中しているようなので(自制できていないところが、そう・笑) あちこちで書き散らしているものをここに集約しておきます。これいつか、続きも含めて、一つにまとめたいんだよなぁ・笑

超最新版 グループ性に注目した
アイドルは、今、何故グループなのか?

最新版 ブランドステージとの関係を語った
AKB原論-微積分マーケティングの勝利

4つ打ち8ビートとの関係を語った
AKB48は何をメッセージしようとしているのか?

ライブものとして
マジジョテッペンブルースで見たもの

あなたは何の「目撃者」でしたか?

あとまゆゆものとして
16歳の渡辺麻友が経済誌で語っていたこと

カシアス島田について

あと総論として
AKB48総論 - キャズムを越えたアイドルたち

関連記事としての5回目
「ネ申言舌イヒ」の遊び

関連記事としての4回目
世界の中心は秋葉原という物語は1995年から始まった。

翼で書いたのが3回目
記号の森のAKB48

CNETラスト原稿として書いたのが2回目
AKB48はネット社会でなぜ支持されるか?

会社のブログに書いたのが最初
AKB48-超メディア論

他に追加版として

自己組織化し始めてるNMB48

NMB48公演を見て、「大阪」がわかった

劇場という衝撃-幻の一曲(ライダー)にAKB48の原点を見た

ブログ1日100回更新した「指原クオリティー」を考える

さしこのくせに メモ

hp、お前もかw feat.AKB48

プロ顔負けのCM企画力(グリコBREO)・NMB48

NMB48の渡辺美優紀(みるきー)について

アイドルと恋したら AKB 1/48

宮崎大サーカスにテレビの可能性を見た

生放送をこなすか、こなさないか

マスメディアの波長を変えるAKB48

アイドルの究極系-渡り廊下走り隊-MUSIC FAIR

関係の絶対性を歌った「Answer」-no3b

桜からの手紙-提供クレジットの新手法

「誰かのために」は今効くメッセージ

AKB48の桜が意味するもの

「最下層アイドル。大堀恵」はマーケティング本だ

とここまで来て、面白いのは、はじめTVを介さないAKBの成長戦略を讃えていたが、よくよく調べてみると、新しいカタチでTVを上手く活用していることがわかってきたことだった。ネ申(ねもうす)TVはもうSeason5に達し、関西・読売テレビでも冠番組がスタートしはじめている。AKB48の経済効果は200億円とも言われているが、雑誌などはもう既に多くの恩恵を受けているのではないかと思う。

AKB48は新しいメディア活用という側面と、旧メディア興しという役割を担いはじめている。この旧メディア興しという役割には非常に興味があって、これからも細かく見ていきたいと思います。

「ネ申言舌イヒ」の遊び

一応、メディア論を書くつもりが、またまたAKB48論になることをお許し願いたい(笑) CNETラスト原稿でAKB48がらみを書いたとき、はてなブックマークコメントで「CNETブロガーにヲタがいる、どん引き」みたいな感想もあったが(笑)現在セブンイレブンが全国でそのヲタフェアをやっているのだから、そう気持ち悪いものではないと今は判断したりしますので…(笑) しかし今度は「翼ブロガーにヲタがいる、どん引き」と書かれるかもしれないが(笑) その時は朝之丞さんに継続していいかどうかおうかがいをたてます(笑)

以前、AKB48はテレビの力を借りないで、ここまで浮上してきたみたいなことを書いた覚えがある。正確には初速にテレビを利用していないと書いたとは思うが、調べていくうちに、2008年以降は上手にテレビを利用していることがわかったので、ここで修正しておきます。あっさり。

CSやケーブルの「ファミリー劇場」チャンネルに東北新社が制作している「ネ申(ねもうす)TV」というのがあって、これにAKB48の主要メンバーが登場し、様々なチャレンジ・修行していく番組となっている。これを番組表や番組検索から引くのは至難の業で、ここに引っ張ってくるのにネットが巧みに利用されている。

一つは「ニコニコ動画 AKB48チャンネル」もう一つは「Youtube 東北新社チャンネル」あと、AKB48 Mobileと番組の公式サイト「AKB48 ネ申テレビ」。おそらく「AKB48」で検索や関連サイトを調べていると自然にこの番組があることに気づくようになっている。これらの告知チャンネルに入っている映像パターンは意外なくらい豊富にあり、力の入れようがわかるのと、東北新社ってかなりAKB48に入れ込んでるなぁ具合もよくわかる(笑)言い換えれば楽しんで番組をつくっている…と。

番組内容で吃驚したのは

「FLASH記者になり、袋とじを作れ!」

「明治大学で大学講師になれ!」

というものがあり、明治大学で「人付き合い」と「笑顔の作り方」を語る大島優子にはあらためて感心した。いやはやNO.1になるにはいろんな処世術を駆使しているのだな…と学生もメモしてたし(笑)

あと、山奥でAKB 前田敦子(18歳)とSKE 松井珠理奈(12歳)のセンター同士が陶芸をしながら心洗われる会話を延々続けたり、すべてハイビジョンで超きれいに映されている。

今や劇場だけでなく、ニコニコ動画、Youtubeでティーザー的にあおっておいて、ネ申TVでしっかり魅力を伝えるルートもきっちりと成立しているのだなと。まぁかなりニッチなTV番組ではありますが、ニューヨークロケのプロモーションビデオ撮影もはちゃめちゃで楽しいものでもありますし、動物との握手会もかなり笑えます。現在、Season4が始まり、おぎやはぎの小木がドS面接官となって、各メンバーの性格と個性を暴き、あまりにもリアルにやりすぎたため、AKB劇場支配人からクレームがつき、小木が各メンバーに謝罪しにいってるところ(笑)となっている。

何故「ファミリー劇場」なのかよくわかりませんが、告知媒体といい、放映媒体といい、理想的なくらい低コストで運営されていることは確かで、コンテンツさえしっかりしていれば、どんな媒体でも効果的なんだよということも教えてくれています。

極端なことを言えば、ネットで注目をとれるコンテンツがあれば、TVの場所はどこでもいいとも言えます。そう思うと、TVからネットに引っ張ってくるパターンがよくありますが、こちらはお金がかなりかかりますね。また、TVで浅くネットで深くというパターンが通説でしたが、こと映像で響かせたいものは、ネットで浅くTVで深くというパターンもあるなと気づかせてくれます。

例えば、トヨタのYoutubeチャンネルがあって、この走りを臨場感あふれるハイビジョンでご覧なりたい方は、毎週何曜日の「マイナー」チャンネルでみたいな…ことも…ありうるのかと…

これとは別に先週から関西ローカルですが
読売テレビで「AKB48と××(ちょめちょめ)」という番組が始まりました。これは今度、大阪にもNMB48という組織ができるので、それのプレフェスタ的な意味合いもありますが、深夜帯とはいえ、メジャー局の冠番組となっています。

この番組では、AKB48にCMをやってもらいたい関西企業を堂々と募集しています。

メディア興しという役割を担っているのかなAKB48は…YJ・PBなど雑誌の活性化だけでなく、テレビの活性化にも寄与しはじめている。実数が出たらはっきりしますが、セブンイレブンのグッズのなくなりようの速さを見れば、現在のメディアステーションの一つであるコンビニにも寄与しているとも言えるでしょう。

AKB48はアイドルのネ申言舌イヒをメディアを揺さぶりながら楽しく遊んでますね。

以前は、禁じられた遊びだったのかもしれないが、今の時代、そりゃもう堂々と…

あまり、誉めすぎると、またヲタヲタ言われるので、この辺で(笑)

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30数年広告畑で畑を耕しています(笑)コピーライターでありながら、複雑系マーケティングの視野からWebプランニング、戦略シナリオを創発。2008年2月より某Web会社の代表取締役社長に就任。snafkin7としてのTwitterはこちらからどうぞ。Facebookはこちらから。
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