2006年09月
2006年09月21日
再び「結婚できない男」最終回

ほんでもって、再び「結婚できない男」の話題ですが、最終回、んんん、やっぱりいい間(ま)があって、感じのいい終わり方で、久々に満足度のあるドラマを見た感じがします。
おかしくてやがて悲しき。
松尾芭蕉的には、おもしろうてやがて悲しき。でしたか。
そして、おもしろければおもしろいほど、後に悲しみが残り、人っていうのは感動してしまう。物語論、悲劇論なんかで、ロランバルトも言ってたような気がします。ギリシャ時代には、喜劇と悲劇があり、しかし悲劇の人気がもの凄く、悲劇が全盛となった。それはシェークスピアの時代もしかり、後の文学も一つのスタイルとして悲劇が定着した。
でも悲しい悲しいだけの悲劇じゃないんですね。
おかしくてやがて悲しき。
これが人の遺伝子が好む物語の本質みたいです。
どうでもいいんですが、寅さんシリーズの「男はつらいよ」。これもおかしくてやがて悲しきの典型的な型で長く続きました(笑)映画ではハッピーエンドの傾向がありますが、ある意味、珍しい例ですね。アメリカの同じタイトルのミュージカルと映画化したものを比較すると、ミュージカルではハッピーエンドじゃないのに、映画ではハッピーエンドになってる例が多々あります。
ハッピーエンドというのは、資本主義の商業化の極みが好む終わり方なのかもしれません(笑)
だから消費されて飽きちゃう、みたいな(笑)
一時期、韓流ブームとなりましたが、韓流のシナリオは悲劇が多いですね。
人の遺伝子は、何故、悲劇を好むのでしょうか。
松尾芭蕉的には、にぎわいの後の静寂ということなんでしょうが、これって生命そのものなんですね(笑)活発に活動していたあらゆるものも死という静寂の世界に向かっていく。永遠に活発ににぎわうものって狂った細胞でしかありえないのです。
そして、本題の「結婚できない男」の終わり方。最後の家の模型のシーンは一見、ハッピーエンドに見えますが、不器用な建築家と不器用な女医は、永遠に不器用なキャッチボールをしながら不器用な愛し方で結ばれていくという意味では、おかしくてやがて悲しきの極みなんですね。そして、それはドラマだけの世界じゃなくて、一般にも共感できる、思い当たるふしのあるものです(笑)
このドラマの中には、笑いながら泣く、泣きながら笑うシーンがたくさんありました。
この微妙な揺れが感情っていう奴です。
このドラマの視聴率がかなりいいとすれば、人はまだまだまだまだ感情を忘れてはいないようですね(笑)
2006年09月14日
小須田康人から第三舞台の話

第三舞台は現在、封印中で、2011年には復活するのか?どうかわかりませんが、なんといいますか、立ち上げ当初から、すべての公演をずっと見ているので、2001年の封印公演の時は、なんだか、生き甲斐をなくしたというか、抜け殻になった気分で、後は自分で考えて生きていかねばならないのだなと(大袈裟・笑)寂しい思いをしました(笑)
数ある公演の中でも一番好きだったのは、「天使は瞳を閉じて」でした。
これは1991年にイギリスでも公演されたもので、日本では1988年、ちょうどバブリーな頃で、やはり、バブルそのものはいろいろ言われますが、その時、文化的にはなんか良い時代だったような気もします(笑)
ついでに好きな公演順に並べておきますと。
「天使は瞳を閉じて」1988
「デジャ・ヴュ」1986
「リレイヤー」1985・1996
「スナフキンの手紙」1994
「ビー・ヒア・ナウ」1990
「ビルグリム」1989
「ハツシャ・バイ」1986
「朝日のような夕日をつれて」1981・1983・1985・1987・1991・1997
大高洋夫、小須田康人、長野里美、筧利夫、勝村政信、山下裕子、筒井真理子、池田成史、京晋介、松重豊、こういった俳優は、なんかずっと生で間近で芝居で見ていたので、今でも凄く近い存在のような気がします。おかしくてやがて悲しきストーリーにも惹かれて、公演があるごとに足を運び、テレビでも映画でもない不思議なパワーを芝居に感じ、この人たちがこんなにエネルギッシュにやってんだったら、自分もがんばろう的な+のエネルギーをもらっている感じでした(笑)
「結婚できない男」に出ていた小須田康人さんは、パソコン通信時代からの、根っからのパソコンオタクで「アジアをパソる」なんぞの本も出してはりました(笑)しかもかなり前ですから(笑)パソコンを持って海外に行くのが好きなライフスタイルで、アスキーなんかの雑誌にもコラムを書いていましたから…最近では、英語だけでなく、韓国語も上級者のようで、この人、ホント不思議な人なんですよねぇ(笑)
もう第三舞台の黄金時代は二度と訪れないでしょうから(笑)病気みたいに、毎回見ていた時間というのは今思うと貴重な時間の積み重ねだったんでしょうかね(笑)
脚本・演出の鴻上尚史については、いいんですけど、自分にとっては第三舞台というのは俳優の力にかなり惹かれてましたね、正直。
まっ、こんな回顧になるのも秋だからで(笑)しょうか(笑)
月曜は博多をまわり、金曜は東京出張、ちょっとハードなのですが、大豆ペプチドで調えて、なんとか元気にやっていきたいと思うのでやんす(笑)
2006年09月06日
『結婚できない男』の脚本 尾崎将也

『アットホーム・ダッド』も尾崎将也さん脚本で阿部ちゃんでしたが、『結婚できない男』では、夏川と高嶋のかけあいのあたりに、なんかTVドラマっぽくない、舞台芝居っぽい、間があって、その辺がこそばくて、とても良いです(笑)なんていうか、第三舞台の長野と大高のかけあいというか、あの上質の間は、なかなかTVドラマでは見れないものです。
尾崎将也さんていうのは、もともと広告代理店勤務で、脚本家になった人で、過去、『夏子の酒』『Age35恋しくて』『ラブジェネレーション』『WITH LOVE』『サトラレ』『大奥-華の乱』とヒットを飛ばしてきた人ですが、ジンとこさせる間というか、シーンが必ずあって、無言のなんていうか、間なんですね(笑)
たとえば、ドラマや映画だと人はぺらぺら筋道たててしゃべってますが、日常、そんな人は少ないわけです。だからフィクションの世界が確立して成立するわけですが、尾崎将也さんのは、セリフがわりあい日常っぽい言葉なんですね。構成はちゃんとしてますが、言葉や間がかなり日常っぽくて、割合リアルな感情がこちらにポッと生まれる瞬間があって、ジンとしてしまうわけです。
それと、言葉には出てこないけど、見てる人達に、この関係はわかってますよね、というお約束的な関係が成立しているので、なんか気の利いたくすぐるサービス精神がにおってて、見ていて気持ちいいところがあります。
ある意味、関西のりなんでしょうかね、鴻上尚史もそうですが、関西出身者というのは、いやがおうでも吉本新喜劇とか松竹新喜劇みたいなのを見てるので、おかしい間というか、そういうのを入れてしまい、まぁ今はそれが全国区なんで、逆に受けるというふうになる。そんな感じでしょうか(笑)
阿部ちゃんも車のファミリア欲しさに姉さんに無理矢理、メンズノンノモデルに応募されてモデルになり(車は姉さんのものとなった・笑)一時期、売れない時期を過ごし、『トリック』で急浮上、今の路線となってるわけですが、真面目な理工学部生がなんか華やかな場所にいるという染みついたキャラクターのおかしさがあって、やっぱり好きですね(笑)
最終回に近づいてきてますが、結末はいかに…