2006年08月
2006年08月21日
『テレビCM崩壊』Joseph Jaffe

アメリカでは、マーケティング本のベストセラーだそうで、『テレビCM崩壊』-マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0-、出版に携わっているいる人が一番の気合いの入れようなんですけど、個人的には、わざわざ、『テレビCM崩壊』なぞ口にしなくても、Web2.0の視点でたんたんと眺めた方が一番ラジカルではあると思うのですけどね(笑)
原題は『Life After the 30-second Spot』みたいなんで、日本沈没!!的なセンセーショナルさが欲しかったんでしょうけど、広告業界でもおそらく現場にいる人、ふれあっている人達は、まぁ、こういう視点から似たりよったりのことはしているかと思います。電通あたりの機関誌では、ずっとこのあたりのテーマで、実際にもいろいろ新しいサクセス例はあるわけで、なんと言うんでんしょうかね。終わるかどうかは、成り行き上で、宣言や予言とか、そういうものはいらなく、自然になくなるものはなくなるし、残るものは残るし、西欧とアジアという違いもあるし、Web2.0ラインだけ、しっかり眺めていれば間違いないような気がします(笑)
この本にも書いてますが、旧態然の考え方の人って、どこにでもいるし、そういう人たちとやりあっても、なんだか空しく、どうでもいいんですね(笑)
最近、一番、見事だなと思った、宣伝力があります。
小泉総理の靖国参拝というパフォーマンス。
これについて、マスメディアは、ああだこぉだと騒ぎ立てましたが…
これって、先に、Web調査をかましてんるんですね。小泉総理側が…
その予備調査では、国民の半数以上が賛成の意見となっていたのです。
ですから、堂々たるもんでした。
だって、国民の支持があると踏んだ上でのことですから、マスコミが何を言おうが、統計上、国民の半数以上は支持し、自民支持へとつながっていくんですね。
中国、韓国の人は選挙権ありませんから、まぁ関係ないということでしょう。
半数超えてたら、いいのか、要は少数でも質ある意見が大切ではないかという人がいるかもしれませんが、それは統計を理解していないことになります。半数を超えてるということは、統計上、凄いことなんですね。
時々、小泉総理というのは改革派なのか、右派なのかわからなくなることがありますが(笑)マスメディアが腐っていることをよく知っている上で、計算した行動をとる、何も広告費使わなくても、マスメディアはこの問題をとりあげ小泉叩きをする、日本人は弱い方の味方をするクセがあるので(高校野球でも負けた方に拍手が多い・笑)なんだかよくわからないが筋を通した小泉ってやるじゃないかということになる、そういうのを計算している、ある意味では、新しい側の人のような気はします。
もっと怖いのは、中国、韓国の反応についてもマーケティング上、データ的に予測しているかもしれないのです。
中途半端な感覚で、どうのこうの言ってるマスメディア、知識人が一番わかってないんですね(笑)
それと、このパフォーマンスのシナリオを書いてるのが広告代理店の人間かもしれないので(笑)まぁ、日本の現状と実情は、もうこの本よりかなり進んでいることになっているのかもしれません。政治家が、ネットマーケティングをした上で最大のパブリシティ戦略を実施している。
要は、いい宣伝力って、仕掛けてないように見えることなんですね(笑)
今回の靖国参拝は仕掛けてないように見えるだけでなく、小泉って馬鹿だなぁという印象で終わりながら、結果、自民党に好印象とまでは言わないものの、それにつながるような流れになっていて、メディアの使い方をよくわかってるんですね(笑)
Web2.0信奉者から見れば、この本はもの足りないですが、現象をうまくまとめているという点ではとてもいい本です。個別の案件について考えるには役に立ちませんが、大きな流れをつかむにはいい本だと思います。
だって消費者も馬鹿じゃないし以上に、スポンサーも馬鹿じゃないし、広告屋も馬鹿じゃないし、みんな馬鹿じゃないから、こんな本がなくても新しいことはどんどん進んでいくわけです。
本当のラジカルさっていうのは、何かを叩くことじゃないんですね。ラジカルって語源は、本源的、根源的っていう意味ですから、広告やマーケティングについて、徹底的にラジカルになるってことは、まぁ今は、Web2.0の考え方をどう現実的に着地させるかなんだと個人的には思います。
なんて言いつつ、じっくりもう一度この本を読んでみようと思います(笑)